バイオグラフィー(日本語)

眞野あゆなは滋賀県彦根市に生まれ、美術教師である父と声楽家である母の影響を受け芸術に触れながら育った。自然豊かな田舎に住んでいたため遊び相手はもっぱら植物やその中に生きる動物たちで、常にこの宇宙に存在するたくさんの生命を感じながら過ごしていた。幼少期から空想を膨らませては絵を描くこと、物語や詩を作ることを好み、10歳の頃には美術の道へ進むという感覚が強く芽生えていた。美術大学を卒業後、海外に滞在していたが、家族が心の病を発症して帰国。そのまますぐに2年間の看護生活が始まる。この時、目に見ることのできない”心”と、目に見えているはずの”肉体”がいかに影響し合い、そのバランスによって生命が繊細に保たれているのかを目の当たりにする。そしてこの出来事は彼女のその後の人生にとって大きな影響を与えることとなった。

家族に施すための様々な癒しの手法を学び始めたその過程の中で、芸術と療法の心に対する働きかけが共通した力を持っていることに気づき、画風が変わる。看護生活を終え、芸術作家のアシスタントとして働くようになった傍も、癒しの分野を更に知りたいという気持ちが強くなっていった彼女は自らセラピストとしての学びを深めてゆく。

初めてハワイに訪れた際には、自然や神々を敬うハワイ文化と古代ハワイのヒーリングの存在を知り、その祈りの哲学に感銘を受ける。彼女の生み出す作品はこうした人生の経緯から、スピリチュアリティ、自然環境、天体、植物など人の心に優しく強く働きかける癒しのエネルギーがそのまま表現されており、自身の経験や感情を作品に込めることで見るものにも自分自身と向き合うきっかけを与える。

 彼女の作品は木版画という伝統的な技法と現代的な感性が融合したものである。

時にオーソドックスな木版画の枠を超え、身の回りに生息する自然からのメッセージやエッセンスを直感で取り入れる。一枚の紙に独自の摺り方で何度も色を重ねる「多色摺り」や手彩色を使い繊細で透明感のある色合いを表現することを得意とし、その結果、深みや奥行きが生まれ、見る者の心に響く。眞野あゆなはアーティストでありセラピストであることで芸術と療法という二つの分野から癒しを追求する。彼女の作品はその二つの側面が調和したものであり、見る者に癒しと安らぎを与える。